TIMELINE
ジャイロスコープ史

 
  

1743年│イギリス
英国の船長ジョン・サーソンが水平器として用いるための「回転鏡」(Whirling Speculum)を発明、これがジャイロスコープの先駆となる。

 
 

1817年│ドイツ

テュービンゲン大学で物理学・数学・天文学を教えていたヨハン・ ゴットリープ・フリードリヒ・フォン・ボーネンベルガー教授が回転球を用いたジャイロスコープの原型となる「マシーン」(Machine)を開発。

 
 

1820年│フランス

数学者のピエール=シモン・ラプラスが「マシーン」を補助教材として導入することを推奨。

 
 

1832年│アメリカ
ペンシルベニア大学のウォルター・R・ジョンソン教授が回転球の代わりに回転ディスクを用いた「ロータスコープ」(Rotascope)を開発。

 
 

1836年│スコットランド
エンジニアで数学者のエドワード・サングが「マシーン」のような装置を実験に用いることで地球の自転が検出できると提案。

 
 

1851年│フランス
レオン・フーコーが自宅の地下室で行った振り子の実験で地球の自転を証明。ついでパリ天文台とパンテオンで公開実験を行う。
また同年、フーコーはロータスコープを模した装置で地球の自転を証明するための実験を行うも、回転が長続きせず不備のうちに終わる(今日では高精度なMEMSジャイロを用いることで地球の自転を測定することが可能)。
その時に用いた装置を「ジャイロスコープ」(Gyroscope)と自ら命名。ちなみにジャイロスコープの語源は、古代ギリシャ語 "gûros"(英語:circle)の「回転」と、"skopós"(英語:watcher)の「見るもの」「観測装置」に由来する。

 
 

1855年│フランス
パリで開催された第一回万国博覧会で、フーコーが電磁石駆動の振り子実験を行う。

 
 

1878年│アメリカ
発明家のジョージ・M・ホプキンスがジャイロスコープに電気モーターを初めて搭載。これによって長時間の回転継続と小型化が可能となる。

 
 

1889年│フランス
パリ万国博覧会でエッフェル塔を模したスタンド付きのジャイロスコープが出品される。ちなみにエッフェル塔の外壁には功績のあったフランス人科学者72人の名前が刻まれ、そのうちの一人にフーコーも入っている。

 
 

1890年│アメリカ
ジョージ・M・ホプキンスが電気モーター駆動の方位測定装置「ジャイロ・コンパス」(Gyro Compass)を発明。

 
 

1893年│アメリカ
商用カリキュレーターで知られるC・ロップ&サンズがジャイロの原理を応用したサイエンストイ「ミスティック・グローブ」(Mystic Globe)を発売。

 
 

1895年│オーストリア
エンジニアで海軍士官のルートヴィヒ・オブリーがジャイロスコープを用いた魚雷の針路制御装置を発明し、特許を取得。魚雷を発明したイギリスの技術者ロバート・ホワイトヘッドがその特許権を買い取り、改良を加えて実用化。

 
 

1902年│アメリカ
ウィザード・ノヴェルティがジャイロの原理を応用したサイエンストイ「アーヴィングス・ウィザード・トップ」(Irving's Wizard Top)を発売。

 
 

1903年│イギリス
エンジニアで発明家のルイス・フィリップ・ブレナンがジャイロスコープを搭載した「ジャイロ・モノレール」(Gyro Monorail)を発明し、特許を取得。

 
 

1904年│アメリカ
ガードナー・ジャイロスコープがセントルイス万国博覧会および翌年開催のポートランド博覧会(ルイス・クラーク100周年記念万国博覧会)で記念品として「ガードナー・ジャイロスコープ」(Gardner Gyroscope)を出品。

 
 

1906年│ドイツ
科学者で発明家のヘルマン・アンシュッツ・ケンプフェが実用的な「ジャイロ・コンパス」を発明し、特許を取得。1908年に戦艦ドイツランド号に搭載して試験航海を行い、1911年に世界初の「ジャイロ・コンパス(アンシュッツ式)」が完成。

 
 

1909年│アメリカ
ウィザード・パテント・デベロップメントがジャイロの原理を応用したサイエンストイ「ウィザード・モノレール・ジャンピング・トップ」(Wizard Mono-Rail Jumping Top)を、ついで翌年には「ウッズ・レスリング・ジャイロスコープ」(Wood's Wrestling Gyroscope)を発表。

シアトルで開催のアラスカ・ユーコン太平洋博覧会で記念品としてジャイロスコープが出品される。後にこれが「チャンドラー・ジャイロスコープ」そして「テドコー・ジャイロスコープ」へと変遷を遂げる。

 
 

1909年│イギリス
ブレナンとドイツのアウグスト・シェールがそれぞれ「ジャイロ・モノレール」をデモンストレーション運転。同年、シェールの車両がベルリン動物園で一般公開される。

 
 

1910年│アメリカ
電気技術者で発明家のエルマー・A・スペリーがスペリー・ジャイロスコープを設立。船舶用の「ジャイロ・コンパス(スペリー式)」と横揺れ軽減装置「ジャイロ・スタビライザー」(Gyro Stabilizer)を開発。

 
 

1910年│イギリス
ブレナンの「ジャイロ・モノレール」(下記画像)がロンドン・ホワイトシティで開かれた日英博覧会で一般公開され、乗客約40人を乗せて一本のレール上を時速20マイル(約32キロ)で実走行。

プログレス・トイがジャイロ・モノレールのようにレール上を滑走するサイエンストイ「ジャイロ・サイクル・トップ」(Gyro-Cycle Top)を発表。

 

Brennan Gyro Monorail

 
 

1910年│日本
東京の京華社雑貨店がジャイロの原理を応用したサイエンストイ「活動コマ」を発売。

 
 

1911年│アメリカ
スペリー・ジャイロスコープ製の「ジャイロ・コンパス」が商船としては世界で初めてプリンセス・アン号に搭載され、試験航海を実施。ついで戦艦デラウェア号へも搭載され、実用化に成功。

 
 

1912年│アメリカ
スペリー・ジャイロスコープが航空機の自動操縦装置「ジャイロ・パイロット」(Gyro Pilot)を開発。1914年フランスでエルマーの息子ローレンス・B・スペリー自らデモンストレーション飛行を行い、成功を収める。

 
 

1912年│イギリス
エリー・サイクルがブレナンのモデルそっくりのサイエンストイ「ジャイロ・モノレール・カー」(Gyro Mono-Rail Car)を、ついで翌年ドイツのレーマンが「ジャイロ・モノレールウェイ・カー」(Gyro Mono Railway Car)を発表。 

 
 

1913年│イギリス
エルマー・A・スペリーがスペリー・ジャイロスコープをイギリスにも設立。海軍の潜水艦に「ジャイロ・コンパス」を搭載。

 
 

1914年│イギリス
数学者でロシア王室弁護士のピョートル・ペトロヴィチ・シロフスキーが二輪で安定走行する「ジャイロ・カー」(Gyro Car)をブレナンと協力して開発、ロンドンで初の公開試乗を行う。 

 
 

1917年│アメリカ
チャンドラー製作所がジャイロの原理を応用したサイエンストイ「チャンドラー・ジャイロスコープ」(Chandler Gyroscope)を発表。

 
 

1918年│アメリカ
科学者で発明家のチャールズ・フランクリン・ケタリングが今日のドローンの先駆となるジャイロスコープ搭載の無人小型複葉機「ケタリング・バグ」(kettering Bug)を開発。陸軍が空中魚雷として配備するため試験飛行を実施。

 
 

1921年│日本
タイガー商会がジャイロの原理を応用したサイエンストイ「地球獨樂(地球ゴマ)」を発表。

 
 

1922年│日本
海軍の航空母艦「鳳翔」に正規空母としては世界で初めて「ジャイロ・スタビライザー」を搭載。第二次世界大戦で実戦に投入。

 
 

1933年│アメリカ
冒険飛行家ワイリー・ポストがスペリー製のジャイロ・パイロットを搭載したロッキード・ヴェガ「ウィニー・メイ号」で初の単独世界一周飛行に成功。

 
 

1936年│イギリス
ラインズ・ブラザーズが「トライアング・トイズ」のブランドで、ジャイロの原理を応用したサイエンストイ「ジャイロ・サイクル」(Gyro Cycle)を発表。発明家ヒューバート・チャールズ・ヘンリー・タウンエンドによる考案。

 
 

1942年│ドイツ
科学者のヴェルナー・フォン・ブラウンが世界で初めてジャイロスコープを搭載した弾道ミサイル「V2ロケット」を開発。ナチスが第二次世界大戦で軍事兵器として実戦に投入。

 
 

1961年│アメリカ
フォードがデトロイト・モーターショーで二輪ジャイロ・カーのコンセプトモデル「ジャイロン」(Gyron)を発表。

 
 

1962年│アメリカ
アーネスト・F・スウィニー、ハニー・フェレイラ、ルイス・E・スウィニーが「ジャイロ・ダイナミック・モノレール」(Gyro-Dynamics Monorail)を開発。

 
 

1967年│アメリカ
カーデザイナーのアレックス・トレミュリスがジャイロ・カーの試作モデル「ジャイロ-X」(Gyro-X)を開発。

 
 

1971年│日本
東都電機工業がジャイロスコープを搭載した「TBM操向装置」を開発し、世界で初めて青函トンネルの掘削現場に導入。

 
 

1973年│アメリカ
スカイラブ宇宙ステーションに姿勢制御装置「コントロール・モーメント・ジャイロ」(Control Moment Gyros: CMG)を搭載。

アーチー・L・ミシュラーがジャイロの原理を応用した筋力トレーニング器具「ダイナビー」(DynaBee)を開発し、特許を取得。

  
 

1981年│日本
本田技研工業が世界で初めてジャイロスコープを搭載したカーナビ「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」(Honda Electro Gyro-Cator)を開発。

 
 

1982年│アメリカ
テドコー(現テドコー・トイズ)がチャンドラー製作所を吸収合併し、「テドコー・ジャイロスコープ」(Tedco Gyroscope)と銘打って事業を継承。

 
 

1986年│イギリス
金属加工製造業のリナーゼ・リミテッドがミニチュアボールベアリングを用いたサイエンストイ「リナーゼ・ジャイロスコープ」(Linaze Gyroscope)を発表。

 
 

1987年│旧ソビエト連邦
ミール宇宙ステーションに6基の姿勢制御装置「ジャイロダイン」(Gyrodyne)を搭載。

 
 

1988年│イタリア
ペンドリーノとして知られる高速振り子列車「ETR450」にカーブ安定走行用のジャイロスコープを搭載し、ローマ〜ミラノ間で営業運転。

 
 

1988年│日本
松下電器(現パナソニック)が民生用としては世界初の手ブレ補正ジャイロ搭載VHSビデオカメラ「PV-460」を発表。

 
 

1989年│日本
キーエンスが世界で初めてジャイロスコープを搭載したマルチコプター(ホビー用ドローン)「ジャイロソーサーE-170」を発表。

 
 

1990年│アメリカ
NASAが打ち上げた地球周回軌道上で観測するハッブル宇宙望遠鏡に6基の「コントロール・モーメント・ジャイロ」を搭載。

 
 

1991年│日本
文部省宇宙科学研究所(現JAXA)が打ち上げた太陽観測衛星「ようこう」に小型の「コントロール・モーメント・ジャイロ」を搭載。

 
 

1994年│日本
三菱重工業が船舶の横揺れ減揺装置「アンチ・ローリング・ジャイロ」(Anti Rolling Gyro: ARG)を発表。
 
ニコンが世界で初めて手ブレ補正ジャイロを搭載したコンパクトカメラ「ニコン・ズーム700VRQD」を発表。

 
 

1995年│ドイツ
メルセデス・ベンツがジャイロの原理を応用した横滑り防止装置「エレクトロニック・スタビリティ・コントロール」(Electronic Stabillity Control: ESC)を世界で初めて自動車に搭載。

 
 

1996年│日本
大成建設がジャイロ・スタビライザーを用いて高層ビルやタワーなどの構造物の振動を制御する制振装置「STREAM」を開発。

 
 

1999年│日本
ソニーがジャイロスコープを搭載した世界初の家庭用ペットロボット「AIBO」を発表。

 
 

2000年│アメリカ
国際宇宙ステーションに4基の「コントロール・モーメント・ジャイロ」を搭載。

 
 

2000年│日本
本田技研工業がジャイロスコープを搭載した自立歩行ヒューマノイドロボット「ASIMO」を発表。

 
 

2001年│アメリカ
セグウェイがジャイロスコープを搭載した電動二輪車「セグウェイ」(Segway)を発表。

 
 

2003年│イギリス
ジャイロスコープ・コムがジャイロの原理を応用したサイエンスホビー「スーパー・プレシジョン・ジャイロスコープ」(Super Precision Gyroscopeを発表。

 
 

2004年│日本
任天堂がジャイロスコープを搭載したゲームボーイアドバンス用のゲームソフト「まわるメイド イン ワリオ」を発表。ついでビデオゲーム機「Wiiモーションプラス」や携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」へも搭載。

 
 

2005年│日本
村田製作所がジャイロスコープを搭載した自立走行自転車ロボット「ムラタセイサク君」を発表。

 
 

2008年│日本
神吉 博・神戸大学名誉教授がジャイロ式波力発電システムを開発。ジャイロダイナミクスを設立し、日立造船と共同で実用化へ向けて市場参入。

 
 

2009年│スロべニア
発明家のアレクサンダー・ポルトニクがジャイロスコープを搭載した電動一輪車「エニサイクル」(eniCycle)を開発。

 
 

2010年│アメリカ
アップルが世界で初めてジャイロスコープを搭載したスマートフォン「iPhone 4」を発表。

 
 

2011年│アメリカ
リット・モーターズがジャイロスコープを搭載した自立電動二輪バイク「C-1」を試作開発。

 
 

2012年│アメリカ
ライノ・モーターズがジャイロスコープを搭載した電動一輪バイク「ライノ・マイクロ-サイクル」(RYNO Micro-Cycle)を開発。

ブラック・アンド・デッカーが世界で初めてジャイロスコープを搭載した電動ドライバー「ジャイロ・スクリュードライバー」(Gyro Screwdriver)を発表。

 
 

2013年│イギリス
マヌカ・メーカーズがジャイロの原理を応用したサイエンストイ「マヌカ・ジャイロスコープ」(Manuka Gyroscope)を発表。

 
 

2013年│スイス
チューリッヒ工科大学ダイナミックシステムズ&コントロール研究所がジャイロスコープを搭載した自立移動立方体ロボット「Cubli」を開発。

 
 

2013年│日本
大林組がジャイロの原理を応用した吊荷方向制御装置「スカイジャスター」(Sky Juster)を開発し、東京スカイツリーの建設でタワークレーンに搭載。

 
 

2014年│アメリカ
ジャイロバイクが前輪にジャイロスコープを搭載した自転車「ジャイロバイク」(Jyrobike)を開発。

ラルフ・ローレンがジャイロスコープを内蔵したハイテク・ポロシャツ「ポロテック・シャツ」(Polo Tech Shirt)を開発。

 
 

2014年│日本
ソフトバンクモバイルとフランスのアルデバラン・ロボティクスがジャイロスコープを搭載した世界初の感情認識ヒト型ロボット「Pepper」を発表。

 
 

2015年│日本
シムスインターナショナルがジャイロ変位コントローラーを搭載した電動一輪バイク「ワンホイール i-1」(ONEWHEEL i-1)を開発。

 
 

2016年│イギリス
ジャイロギアがジャイロスコープを搭載し手の震えを80%緩和するグローブ型ウェアラブル「ジャイログローブ」(GyroGlove)を開発。

ルービック・ブランドがジャイロスコープを搭載したルービックシリーズ「ルービックスパーク」(Rubik's Spark)を発表。

 
 

2016年│日本
タイガージャイロスコープがジャイロの原理を応用したサイエンスホビー「地球ジャイロ」(Chikyu Gyro)を発表。

 
 

2017年│中国
オークリーンがジャイロスコープを搭載した電動ソニック歯ブラシ「オークリーンワン」(Oclean One)を発表。

 
 

2018年│アメリカ
セグウェイがジャイロスコープを搭載した6才から乗れるエントリーモデル「セグウェイ・ミニライト」(SEGWAY mini LITE)を発表。

シーキーパーがボートの横揺れを最大95%低減できるジャイロ・スタビライザー「シーキーパー」(Seakeeper)を開発。

 
ウォルト・ディズニー・イマジニアリングがジャイロスコープを搭載した自律型アクロバットロボット「スタントロニクス」(Stuntronics)を開発。

フィアレス・トイズがジャイロスコープを搭載し最長4時間回り続けるコマ「リンボー」(LIMBO)を開発。

 
スフィロがジャイロスコープを搭載したボール型ロボット「Sphero BOLT」を発表。
 
アマゾン・ウェブ・サービスがジャイロスコープを搭載した自律走行AIロボットカー「AWS DeepRacer」を開発。
 
スペシャライズドがジャイロスコープを搭載した緊急送信ヘルメット「ヘルメットウィズアンジー/ミップス」(HELMET with ANGi/MIPS)を発表。

 
 

2018年│デンマーク
バング&オルフセンがジャイロスコープを搭載した円形ワイヤレススピーカー「ベオサウンド・エッジ」(Beosound Edge)を発表。 

 
 

2018年│日本
アイ・オー・データ機器がジャイロスコープを搭載したワイド液晶ディスプレイ「LCD-MF245ED-Fシリーズ」(LCD-MF245ED-F)を発表。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)がジャイロスコープを搭載した「超小型三軸姿勢制御モジュール」を開発。


鹿島建設がジャイロスコープを搭載した現場打ちコンクリートの仕上げロボット「NEWコテキング」を開発。

 
カナモトがジャイロスコープを搭載した建設機械遠隔操縦ヒト型ロボット「Kana Robo」を開発。

TENGAがジャイロスコープを搭載した世界初のマスターベーションアイテム「テンガ・ジャイロ・ローラー」(Tenga Gyro Roller)を開発。

 
 

【参考文献】
Gyroscope - History (Wikipedia)
History of gyroscopes (gyroscopes org)

Gyroscope Timeline (Timetoast timelines)